日本では2001年に「特定製品に係るフロン類の回収および破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)」が制定され、業務用エアコンの整備・廃棄時のフロン類の回収と回収されたフロン類の破壊が進められてきました。しかし、HFC(代替フロン)の急増や冷媒回収率の低迷、機器使用中の大規模漏洩などの問題が相次いだことから、ノンフロン・低GWP(地球温暖化係数)の技術開発・商業化の発展やHFCの世界的規制への動きといったフロン類をとりまく状況変化も踏まえた上での対応が必要になってきました。
そこでフロン回収破壊法は2013年6月に「フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」に改められ、2015年4月1日から施行されています。この法律では従来のフロン類の回収・破壊に加え、製造から使用、廃棄に至るまでライフスタイル全体にわたる対策が求められています。
フロン排出抑制法の対象となるのは、フロン類が使われている業務用エアコンや業務用の冷蔵・冷凍機器などの第一種特定製品。これらを所有している者、または管理責任を有する者を「管理者」に定め、さまざまな項目を義務づけています。その1つが点検。点検には最低4半期に1度、目視などで機器の状態を確認する「簡易点検」と年に1度もしくは3年に1度行う「定期点検」があり、定期点検に関しては十分な知見を持った信頼できる有識者に依頼しなくてはいけません。フロン排出抑制法に基づいてサポートを行っている業務用エアコン定期点検サービスなどを使った方がいいでしょう。
また点検後に行う修理や充填・回収の履歴の記録と保存も義務です。機器整備の際に履歴の開示を求められることもあるので、記録に関しては機器を廃棄するまで保存しておかなくてはいけません。冷媒の回収・充填を行った際は回収証明書と充填証明書の交付を受けた上で、点検修理記録簿へ記録するのも必須事項です。もし一定以上のフロン類漏洩が発生した場合、国に対して管理している機器からの漏洩量を報告しなくてはいけません。ちなみに、報告義務のある漏洩量は1,000CO2t以上です。
今までさまざまな用途に使われてきたフロン類ですが、オゾン層の破壊や地球温暖化などの地球環境への影響が明らかになりました。環境保護の観点から見ても、フロン排出抑制法は重要な法律だといえます。
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